F30 キャンバスに油彩
今、大学の課題作品を描いている。
自由に好きなものを描いて良いらしいので
自画像に取り組んでみた。在学中くらいしか自画像なんか描かんやろうし。
ただ描きたいのは演じる自画像。普通にすました顔は面白くない。
なので感情の基本形「喜怒哀楽」を表現した自分を描く。
まずは「喜」。神の啓示を受けた瞬間、あるいは仏の無碍光に打たれた刹那か!といった感じで口を開いて喜びを爆発させようとしている一瞬。
僕自身の証である天然痘接種の痕、奥歯の金属かぶせも抜かりなく描く。
思えばもう今年還暦だ。六十年の歳月が身体に刻んだ痕はむしろ愛おしいものだ。
F30 キャンバスに油彩
こちらは「怒」。目の前にいる何者かに怒りを爆発させている。
それが何者なのかは僕にもわからないが、自身の鼻持ちならない善人らしさなのかも知れない。
背景の斜光線は幽かな救いの光か。
以前描いたこの赤いシャツの自分は今も金属の球体の中で澄まし顔をしてこちらを向いている。