F30 キャンバスに油彩
喜怒哀楽の「楽」が予定よりやや早く仕上がった。やっぱり黒い絵になった。
黒い空間に魅力を感じている。これはバロック絵画の影響というのでもなく私的な嗜好である。「空(くう)」という概念を色彩に表そうとした時、僕は黒を想起するのだ。「空」は無ではない。だから黒は無彩色ではない。「空」は縁起である。だからあらゆる縁起あらゆる色を飲み込んだ色彩が黒だと考えている。自画像の背景には黒以外考えられない。
大無量寿経にある阿弥陀の第四の誓願「無有好醜之願」によってそんな「空」の只中で悲哀に佇む醜い私であっても必ず拾い上げてくださることを願ってこの絵を描いた。